11.28.2015

The Value of Concept

バイクの記事(しかもコアな)なので、興味のある閲覧者は限られてしまうかもしれないが。。







MT-10 が先日のイタリア、ミラノの自動車ショーである EICMA で発表された。


前職で関わったのが MT-09 Tracer までだったので、その後こんなプロジェクトが立ち上がっていたとは知らなかった。


WEB で MT-10 と検索しても、今のところ金属保護膜生成のスプレーがヒットしてしまうが、今後はもっと話題になっていくに違いない。。




実機を見たわけではないので、製品写真をいくつかの角度から見た印象だが、一言で言ってしまえば、残念だ。



MT というモデルは Master of Torque の頭文字をとったもので、自身が GKデザイナーだった頃は一つの象徴的なシリーズだった。


初代 Dynamics 社長も思い入れを持っていたモデルで、GK のベテランデザイナーがこぞってアイデアを出し、徹底的に作り込んだプロダクトだった。


2013 年に MT-09 が口火を切った後、MT-07、MT-09 Tracer、MT-25、MT-03 とどんどんラインナップを拡充してきている。



そして今回、"The King of MT" というコンセプトで来たのがこのモデルだった。









はっきり言って、これはコンセプトとは呼べないと思う。


MT にそもそも "King" はないし、必要ない。

"King" という単語そのものも、少々 時代錯誤だ。


デザインのみ眺めてみても、アピアランスから感じられる「デザインのメッセージ」はこれといってない。


R1 のエンジンは素晴らしいだろうし、それをストリートでも楽しめるリセッティングも技術の賜物だろう。


ただ、それ以外のユーザーへの新提案はないし、デザイン / スタイリングで表現されるべき「新しい乗り物の楽しみ」を見ることができなかった。


MT-09 や MT-07 で生み出されたライディングポジションの新提案や、乗り方そのものをユーザーが見つけられるような取り組みは MT-10 にはなさそうだ。

そこが残念だ。



ずいぶん派手に取り付けられた意味のないシュラウドやスタビライザーは、無駄に製品価格を上げる理由になるだろう。


突き詰められたシンプルさが MT シリーズに共通する特徴だったが、ヘッドランプ周りは他社を意識したようなキャラクタリスティックな動物的表情、ボディとのバランスがいいとは思えないサイズ感、重ったるい印象のタンク、いらないのでは・・と思うような外装類が、コンセプトをさらに曖昧にしている。


新しいデザイン言語を見つけるためのひとつの取り組みだと言われれば、納得する以外ない。

が、MT というシリーズに思い入れを持っている層(MT カスタマーはほぼ例外なくそうだ)に対して、もっと向き合ったデザインをして欲しいと思った。




ただ、あまり言い過ぎると・・呼び出しを食らうかもしれない。






MT-10 : Ray of Darkness





A.Oono

Borderless Inc.

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